
Aki
今回は「東南アジアでドローンを飛行させるにはどうすればいいの?」という疑問にお答えするため、東南アジア10カ国のドローン規制や許可申請の方法をまとめてみました。 国ごとに異なる規制内容を一つ一つ理解しておくことは大変だと思いますので、本記事をお読みいただき、東南アジアで安全にドローンを操作できるようお役に立てれば幸いです。
目次
タイ

難易度 ★★★★★
タイはアジア諸国の中で最もドローンの規制が厳しい国の一つ。
現地でしか申請手続きができない上、ドローンライセンス申請には数ヶ月かかることもあるため、ライセンス取得までの時間を考慮して申請する必要があります。
また、ライセンスを取得するためには、必ずタイでドローン保険に加入しておく必要があり、保険会社へも足を運ぶ必要もあるので、事前に確認してからスムーズに申請できるようにしておきましょう。
タイでライセンス取得の対象となるドローンとは
以下に該当するドローンについては、タイ民間航空局(CAAT)へ飛行許可の申請および保険の加入が必須となる。
- カメラが搭載されているドローンは全て対象
- 機体重量が2kg以上のドローンは全て対象
- 機体重量が25kg以上のドローンは、タイ運輸省(Ministry of Transport)へも都度申請すること
タイでドローンを飛行させるためにすべきこととは
- 現地にてドローン保険の加入する
- タイ民間航空局(CAAT)へ飛行許可の申請をする
- 国家放送通信委員会(NBTC)へ機体登録を行う
CAATへの申請およびNBTCへ機体登録をするには、ドローン保険に加入していることを証明する必要があるので、必ず先に保険に加入するようにしましょう。
タイでのドローン飛行規制およびエリア
- 操縦者は20歳以上であること
- 飛行エリアの土地所有者に許可を得ること
- 人、車、建物から50m以上離れてドローンを飛行させること
- 空港から14km以内での飛行は禁止
- 高度90mを超えて上空を飛行させないこと
- 他人のプライバシーを順守すること
- 別途定められている飛行禁止エリアで飛行させないこと
- イベントなど人が集まる場所で飛行させないこと
- 国家の安全保障を脅かしてはならない
- 保険は人身事故、対物事故をカバーし、1回の飛行で100万バーツ以上の保険金額を設定すること
- ドローンの飛行中、常に当該機体の登録証を携行しておくこと
- ドローンの飛行中、常に消火器と保険証書を携行しておくこと
- 事故、救急、コントロール喪失時などに備え、緊急対応計画を作成しておくこと
- 事故が発生した際、操縦者は速やかに警察へ届出ること
- 別途禁止されているものやレーザを飛ばすような装置を輸送しないこと
タイでドローンを飛行させるには、とにかく手続きが大変です。ですが、ドローンへの規制や申請がしっかり定められているため安心して飛行させることができそうです。
ちなみにですが、ドローンの保険加入、ライセンス申請、機体登録にはドローン本体を持参したり、ドローン写真などを資料として用意しておく必要があります。二度手間にならないよう、しっかり必要な資料を用意して行くようにしましょう。
↓タイ民間航空局(CAAT)のアクセスおよび問い合わせ先
https://www.caat.or.th/en/cotact-us
↓国家放送通信委員会(NBTC)の問い合わせ先
https://www.nbtc.go.th/Home.aspx?lang=en-us
マレーシア

難易度 ★☆☆☆☆
マレーシアでは、Civil Aviation Authority of Malaysia(CAAM)によって規定されています。機体重量が20Kg以下のドローンは、レクリエーション目的かつ安全な飛行を行う限り、DCAからの許可なしに飛行することができるとされているため、大体のドローンは該当しないと言えるのではないでしょうか。
マレーシアでライセンス取得の対象となるドローンとは
機体重量が20kgを超えるドローンについては、民間航空局(CAAM)へ許可申請が必要であり、耐空証明書を提出しなければならない。
※申請料として、RM1000(約24,500円)/年間が必要とされている。
マレーシアでのドローン飛行規制およびエリア
- 地上から高度120m以上での飛行禁止
- 空港周辺での飛行禁止 (少なくとも5km以上は離れること)
- Air space(空域) A、 B、 C、 Gクラスでは飛行禁止(A、B、Cも航空管制官の管轄区域)
- 人口集中区域上空は飛行禁止
- 人口集中区域の150m以内は飛行禁止
- 飛行禁止エリアの150m以内は飛行禁止
- 他の飛行機、人、車、船、構造物等との衝突を避けるため、ドローンは操縦者の視界の範囲内で飛行させなければならない
- 他の人の50m以内での飛行禁止
- 他の人の30m以内での離着陸禁止
↓マレーシア民間航空局(CAAM)への申請方法
シンガポール

難易度 ★★★☆☆
シンガポールでは、Civil Aviation Authority of Singapore(CAAS)によって規制されております。2019年まではガイドラインに沿っての飛行が義務づけられ、レクリエーション目的かつ、機体重量が 7kg未満のドローンを高度60m(200 feet)以下で飛行させる場合は、許可申請が不要とされておりました。
しかし、2020年1月2日より新たに規制が改正され、機体重量が250gを超えるドローンについては、CAASに登録する必要があります。
シンガポールでライセンス取得の対象となるドローンとは
機体重量が250g以上となる全てのドローンはCAASへ機体登録が必要。
シンガポールでライセンス取得する方法とは
- 登録ラベルをCAASや郵便局ウェブサイトよりオンライン購入、または27の指定郵便局の店頭で購入する(登録料$15)。
- UAポータルを介してオンライン登録する。
↓登録ラベルの購入および登録方法
シンガポールでのドローン飛行規制およびエリア

- 機体の特性を熟知し、安全な飛行方法を事前に学習すること
- 機体を操縦する前に、安全に飛行できるか周囲を確認すること
- 視界が開けている場所、かつ天気の良い日に飛行させること
- 常に操縦者の目視の範囲内で飛行させること
- IDAの規格に適合する伝送装置を付けた機体を利用すること
- 人や建物から十分に距離を保って飛行をさせること

- 人混みの上空では飛ばさないこと
- 機体重量が7kg以上は飛ばさないこと
- 荷物を固定できるような造りをしていない機体への物品搭載
- 危険物質を運ばないこと
- 物資を空から投資しないこと
- 救急車などの緊急車両の近くで飛ばさないこと
- 重要施設の上空や周囲で飛ばさないこと
- 空港や空軍基地の5km(3.1 miles)以内での飛行や、高度60m(200feet)以上への上昇をさせないこと
↓シンガポールのドローン飛行制限エリア
https://www.onemap.sg/main/v2/dronequery
インドネシア

難易度 ★☆☆☆☆
インドネシアでは、the Director General of Air Transportation(DGTA)によって規制されています。機体重量が7kg未満で、高度150m以下での飛行であれば許可申請は不要。これは東南アジアで最も緩い規制だと思います。
インドネシアには、バリ島のリゾート地やウブドの広大なライステラスなど、魅力溢れる撮影スポットがたくさんあるので嬉しいかぎりです!トラブルにならないためにもしっかりルールを守って飛行させましょう。
インドネシアでライセンス取得の対象となるドローンとは
商用目的でのドローン飛行においては、民間航空局(DGTA)へ許可申請が必要。
インドネシアでのドローン飛行規制およびエリア
- 地上より150m(492feet)以上の非航空規制区域
- 空港の立ち入り禁止空域(滑走路から15km以内の範囲)
- 民間地域の中でも、政府の飛行空域として定められている区域(Restricted Areas)
- 飛行活動の禁止区域(Prohibited Areas)
- 航空情報や警報が出ている航空規制地域
- 機体重量は7kg(15.4 pounds)以下であること
- 161km(87kts)を超える速さで飛行させないこと
- 日の出から日の入りまでの時間のみ飛行可能
- 飛行時の視界が半径4.8km以上あること
- 目視できる範囲内で飛行すること
- 飛行中の機体の位置を常に把握すること
- 他の人や建物に危害を加えないこと
- 人混みの上空では飛行させないこと
- 人混みから水平方向で600m以上離れて飛行すること
- ドローンの制御が失われた場合、他の航空機、人、物件に危害が及ばないようにすること
- ドローンを飛ばしたことが原因で発生した損害は全て操縦者の責任となる
※カメラ付きドローンはProhibited AreasとRestricted Areasから500m以上の距離を保たなければならない
ラオス

難易度 ★★★☆☆
ラオスでは、Department of Civil Aviation of Laos (DCAL)によって規制されています。商業およびレクリエーションの用途では規制を区別しておらず、重量に基づいて3つのカテゴリに分けられ、機体重量が200g以下であれば、許可申請が不要とされている。
個人的な意見として、ここ近年に規則が制定されたこともあり、まだ確かな情報が入っていないことを考えると、飛行させるには少し難易度が高いかと思われる。トラブルにならないためにも航空省などへ問い合わせいただくことをおすすめします。
ラオスでライセンス取得の対象となるドローンとは
機体重量が200g(0.44 pounds)以上の場合は、航空省へ許可申請が必要。
ラオスでのドローン飛行規制およびエリア
- 高度120m(393feet)以上は飛行させないこと
- 日の出から日没の間のみ飛行可能
- 人の混雑した場所では飛行させないこと
- 空港や航空機の5km以内で飛行させないこと
- 他の人のプライバシーを尊重すること
以上が、「東南アジア10カ国のドローン規制をまとめの前編」となります。
因みにですが、海外へドローンを持ち込む際には注意すべきことがドローン機体や航空会社によっていくつかありますので、こちらの記事にて詳細をまとめております。
空港検査や税関で引っかからないようぜひチェックしてみてください。
国によってドローンに対する規制が大きく異なります。アジアでドローンを飛行させるときに混乱しないよう、事前にルールをしっかり把握しておくことが必要です。
また、どの国もドローンに対する規制が年々変わってきており、細かく規制されてきています。「許可申請が必要だったなんて知らなかった」では済まされない国もありますので、ドローン規制については最新情報を得ておくようにしておきましょう。
東南アジアの残り5カ国の規制情報もまとめておりますのでご覧ください。